大沢医院

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慢性腎臓病

CKD

慢性腎臓病(CKD)

腎臓は大事な臓器です

腎臓は人間の体にとって、なくてはならない臓器です。
「肝心(腎)要(かんじんかなめ)」という言葉があります。この語源は「肝臓」と「心(腎)臓」がとても大切な臓器であることに由来するといわれています。それほど大切な臓器ですが、尿を作る以外の働きはあまり知られていません。腎臓には大きく5つの役割があります。

腎臓の働き、いくつ知っていますか?

腎臓の働き

  • 老廃物や余分な水分をろ過して、排泄する
  • 体内の水分量やイオンバランスを調節する
  • 血圧をコントロールする
  • 造血ホルモンを分泌して赤血球を作る
  • ビタミンDを活性化させて、骨を丈夫にする

体内をきれいにして、体内の環境を最適にしてくれている腎臓ですが、年齢とともにだんだん機能が低下していきます。
腎臓に負担のかかる食事や生活習慣を続けていると、気付かない間に腎機能が低下していることもあります。高血圧や高脂血症などの生活習慣病をお持ちの方は特に注意が必要です。

腎機能が低下したときの具体的な症状としては、手足がむくんだり、立ち眩みや貧血を起こしたり、カリウムが高くなったり、骨がもろくなったり、疲労感が続くなど、体に不調が現れますが、自覚症状がないことがほとんどです。
初期の段階では食事療法や薬などで治療ができますが、腎機能がさらに低下すると薬での治療は難しくなり、透析が腎移植が必要になります。高齢化に伴い、慢性腎臓病(CKD)を患う人も年々増えています。定期的な検査で腎機能低下のサインを見逃さず、早めに治療を始めましょう。

腎臓の検査は疑う疾患によって様々です

検査結果によってどのような疾患が疑われるかを示しています。
ご自身の健康診断の結果を見て、要精密検査と書かれていたら早めにかかりつけ医に相談しましょう。

1尿検査

尿検査

結果 疑う疾患
尿糖 陽性 糖尿病
尿たんぱく 陽性 腎疾患や膀胱炎など
尿潜血 陽性 腎炎、尿管結石、膀胱炎、前立腺炎など
ウロビリノーゲン 陽性 肝障害や胆道系疾患
2血液検査

尿検査

結果
尿素窒素 ↑↑ 20㎎/dl以上で腎機能低下疑
血清クレアチニン ↑↑ 男性1.2㎎/dl以上
女性1.0㎎/dl以上で腎機能低下疑
eGRF ↓↓ 59以下で腎機能低下
尿酸 ↑↑ 7.0㎎/dl以上で高尿酸血症
3画像診断

腹部レントゲン検査や腹部超音波、腹部CTなどで腎結石や腎腫瘍などを判別可能です。

レントゲン検査 超音波検査 CT検査

当院ではレントゲン検査、腹部超音波検査が可能です。
CT検査は精査が必要と判断されたら、他院で受けてきていただいております。

慢性腎臓病(CKD)とは

最近TVCMなどでよく目にするようになりましたが、慢性腎臓病は近年増えており、20歳以上の成人の8人に1人いると考えられていて、新たな国民病とも言われています。
慢性腎臓病はメタボリックシンドロームとの関連が深く、誰にでもかかる可能性があります。
前回のコラムでも書いたとおり、腎臓は体を正常に保つ様々な役割を担っているため、慢性腎臓病によって腎臓の機能が低下し続けることで様々なリスクが発生します。

自分のeGFRの値を知っておきましょう

慢性腎臓病はその重症度に応じて、ステージ1からステージ5の5段階に分けられています。
その指標になるのが推算糸球体濾過量(eGFR)です。
これは、腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排出する能力があるかを示しており、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。

eGFRは血清クレアチニンの値と年齢と性別から計算できます。

血清クレアチニン値は健康診断でも測定することがあるので、健康診断の結果を確認して計算してみましょう。

協和キリン株式会社様「知ろう。ふせごう。慢性腎臓病」というサイトのお勧めにあるeGFR測定のページで計算してみました。

GFR区分の基準値

GFR区分の基準値

GFR区分 eGFR
G1 ≧90 正常または高値
G2 60~89 正常または軽度低下
G3a 45~59 軽度~中等度低下
G3b 30~44 中等度~高度低下
G4 15~29 高度低下
G5 <15 末期腎不全
医療機関受診の目安

GFR区分がG2であっても、尿たんぱくが陽性の方や、G3以上の方は、早めにかかりつけ医を受診するようにしましょう。
女性は男性に比べて、腎機能の低下が早い傾向にあります。
自覚症状がない病気ですので、自分は大丈夫と思わず、まずは自分の腎機能を調べてみることが大事です。

腎臓に優しい生活習慣とは

腎機能が低下してきている方は、日々の生活習慣や食事に注意して腎臓に優しい生活を心がけましょう。
すでに腎機能が中程度以上低下している方は、食事療法では改善しない可能性がありますので医療機関を受診し、薬を処方してもらいましょう。

日々の生活習慣の改善
禁酒、節酒

お酒の適量はどれぐらいかご存じですか?
一日平均純アルコールで20g程度と言われています。少量でもアルコール度数が強いお酒には注意しましょう。
禁酒が無理だという方は、週1~2日休肝日を設定するのもいい方法です。また、お酒と一緒に食べる「おつまみ」には塩分が多く含まれているものが多いですので気を付けましょう。

一日の適量のお酒の目安
禁煙

腎機能の低下にタバコは関係ないと思いがちですが、タバコに含まれる「ニコチン」には、血管を収縮させる作用があり、それによって血圧も上昇します。血圧が上昇すると血流量が少なくなり、腎臓に負担がかかります。

運動不足の解消

普段車で移動している方は歩く機会が少ないと思いますが、腎機能だけでなく、心機能の維持にも適度な運動は必要です。

規則正しい生活

睡眠不足や不規則な生活は、腎臓に負担がかかります。十分な睡眠をとり、ストレスをためないようにしましょう。

体重コントロール

慢性腎臓病の発症や進行を防ぐための生活習慣は、メタボリックシンドロームの予防と共通している部分が多いです。
体重が増えてしまうということは、体が必要としているカロリーと消費しているカロリーが釣り合っていないからです。年齢や性別で必要なカロリー量は違いますので、どうしても体重が増えてしまう方は、一度自分の体組成を測定し、内臓脂肪レベルや筋肉量、基礎代謝量を知って栄養指導などを受けてみてください。

※沼津市では、20歳以上の市民は無料で体組成の測定を行っています。詳しくは沼津市の生活習慣病予防等保健事業のページをご確認ください。