大沢医院

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乳腺外科 コラム

Column

2025年01月23日
中間期乳がんについて

中間期乳がんとは何でしょうか?聞いたことが無いという方も多いと思いますが、中間期、つまり、2年ごとの検診マンモグラフィの間に自覚症状があって発見される乳がんの事です。中間期乳がんは、検診を定期的に受けている女性で見つかるがんの半分から4分の1を占めていて、無視できない数になっています。

中間期乳がんについて

中間期乳がんは

  • 前回の検診時から存在していた場合
  • 検診と検診の間に急速に大きくなった場合

の2パターンがあります。前回の検診から存在していたのなら「見落とし」ではないか?と思われるかもしれませんが、実際にマンモグラフィで見つかりにくい乳がんはあります。以前のコラムでも取り上げましたが、高濃度乳房(デンスブレスト)の場合、正常乳腺の濃度が高いため、乳がんが見つかりにくいことがあります。また、乳頭直下に腫瘤がある場合やしこりを形成しにくいタイプの乳がんは、マンモグラフィやエコーでも見つかりにくいと言われています。
こういった見つけにくい乳がんの場合は、前回の画像を注意深く見返しても見つからない場合や、そういわれてみたら見えるといった程度であることが多いです。

急速に増大する腫瘍には注意

中間期乳がんで注意するものは、急速に増大するタイプの乳がんです。
急速に増大するタイプの乳がんにはトリプルネガティブ乳がんやHER2(ハーツー)タイプの乳がんがあります。中間期乳がんには小葉がんが多いと言われていますが、それは画像上早期発見が難しい乳がんだからです。また、乳がんとは別の腫瘍で葉状腫瘍というものがありますが、こちらも悪性のものは急速に増大しますので手術で摘出する必要があります。
急速に増大する腫瘍(しこり)を自覚した場合は、次の検診を待たずに乳腺外科を受診しましょう。

検診の限界

以上のことから、「見つかりにくいタイプの乳がんがあるのなら、検診は受ける必要がないのでは?」といった意見もあるとは思いますが、検診で見つからなかったから安心だとは思わず、月に1回程度の頻度で乳房を気にしておきましょう。
また、検診の限界がある事も事実です。検診で「異常なし」=「乳がんは無い」ということではなく、『今回の検診マンモグラフィで見える乳がんは無い』と考えるほうが良いです。
それに加えて、高濃度乳房(デンスブレスト)であると言われている方は、エコーによる検診を併用することをお勧めしています。

月に一度はブレストチェックを!

当院では、毎月19日をピンクの日として、ブレストチェックを行う日としています。
公式LINEで毎月19日にお知らせをしておりますのでぜひ大沢医院の公式LINEを登録お願い致します。

実際に送られてくるLINEです

実際に送られてくるLINE

2024年12月16日
乳がんの最新統計について

今年度も市町の健康診断の時期が終わりましたが、乳がん検診も忘れずに受診できたでしょうか?今年度から視触診が廃止となりましたので、当院ではブレストアウェアネスの推進のため、放射線技師による指導とブレストチェックの動画視聴を行いました。その中で、セルフチェックの実践がなかなかできていない事と、検診をしばらく受けていなかった、または初めて受けるといった方も多かったように感じました。

2020年の年齢別罹患率

2020年の年齢別罹患率

図1.年齢階級別罹患率(国立がんセンター がん統計より)

乳がんの罹患率は35歳ごろから急激に増え始め45歳から84歳までは高い状態を保っています。85歳から罹患率は減り始めますが、ゆるやかに下がっているだけで、急激には下がってきません。女性の平均寿命が伸びていることも原因のひとつだと考えられますので、80歳を超えると乳がん検診はもういいかなと思う方が多いかと思いますが、通院できるうちは乳がん検診を受けるようにしてください。乳がんはタイプに合わせた多くの治療薬が開発され、術後の生存率が他のがんに比べて高いがんです。2年に一度の乳がん検診と、月に一度のブレストチェックを習慣づけましょう。

部位別がん罹患率と死亡数

次に、部位別のがん罹患数と死亡数を見ると、女性のがんの罹患率1位は乳がんです。過去の統計をさかのぼると、1995年ごろに胃がんを抜いて1位になって以来、約30年間ずっと1位ということになります。一方で死亡数は5位となっています。

部位別がん罹患率と死亡数

罹患数に比べて死亡数は約1/9です。乳がんは罹患率は高いですが、治療をすれば克服できるがんになってきているということがわかると思います。当院で乳がん術後でフォローしている方は約390人程いますが、およそ半数の方(194人)が術後10年以上経過しています。
ただ、晩婚化や出生率の低下により女性ホルモンの影響を長く受け、食の欧米化や肥満の増加によっても乳がん罹患数は増加の一途をたどっています。また、日本の乳がん検診受診率は低いため、いまだに進行がんで発見されることも多いです。
進行がんであれば治療選択が少なくなったり生存率が下がる可能性もあります。

まとめ

女性の乳がんの罹患率は30年以上ずっと1位です。しかし、死亡数は少なく、進行がんでなければ乳がんは完治が望めるがんであると言えるでしょう。
初期のがんを見つけるためには、乳がん検診を受けることが必要です。2年に一度の乳がん検診は必ず受診しましょう。また、今回の住民検診で「要精密検査」と返書があった方は、必ず乳腺外科を受診しましょう。

2024年11月22日
腫瘍マーカー検査と次世代がん検診について

腫瘍マーカー検査とは、がんの診断の補助や、診断後の経過観察、治療の効果判定などを主な目的として行う検査です。
腫瘍マーカー検査とは、がん細胞が血液中や尿中に放出する物質を測定する検査方法で、がんの種類や臓器ごとに異なります。
腫瘍マーカーの検査方法は採血か採尿ですので簡単に検査が行えることが利点です。
乳がんでも腫瘍マーカーの測定を行うことがありますが、主に手術後や抗がん剤の治療効果判定、再発・転移を調べる目的で検査を行います。ただし、腫瘍マーカーの値だけでこれらを判断するのではなく、画像診断やその他の検査と合わせて総合的に診断を行っています。

腫瘍マーカーの種類

腫瘍マーカーにはたくさんの種類があります(およそ30種類)が、健康診断で測定されることが多いのは、CEA、CA19-9、AFPの3つです。また、男性ではPSAという項目が測定されることがあります。

  • CEA・・・甲状腺がん、肺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、すい臓がん、乳がん、子宮頸がん
  • CA19-9・・・胃がん、大腸がん、胆道がん、すい臓がん
  • AFP・・・肝臓がん
  • PSA・・・前立腺がん
  • 出典:がん情報サービス

CEAは多くのがんに当てはまりますので、CEAの値が高いから〇〇がんであるとは言えません。一方、AFPやPSAのように、単一のがんのみに現れるものであれば、特定のがんを狙って精密検査することが可能です。
また、腫瘍マーカーの上昇=がんの疑いとなるものとならないものがあることも理解しておく必要があります。CEAは、喫煙者や炎症がある場合でも高値になることが知られています。

乳がんの腫瘍マーカー

乳がんの腫瘍マーカー

乳がんの腫瘍マーカーとして使われているのは、CEACA15-3というマーカーです。
CEAは先ほど記載した通り、多くのがんの可能性がある腫瘍マーカーです。
CA15-3は、主に乳がんに使用される腫瘍マーカーです。
乳がんに関してはどちらも検診目的で使用されることはなく、抗がん剤などの治療効果判定や、再発・転移のフォローアップの際に使用されます。
検査の頻度は、がんのステージや術後の経過年数によっても変わります。詳しくは主治医に確認してください。

尿検査で行う次世代がん検診(リキッドバイオプシー)

現在、身体に負担の少ないがん検診(腫瘍マーカーのひとつ)として注目されているのが、尿検査でできるがん検診です。家族歴がある、喫煙歴があるなど、がん発症リスクの高い方にはこういった検査でがん検診を受けることも可能です。興味のある方はリキッドバイオプシーで調べてみてください。

  • N-NOSE(エヌノーズ)
     尿中に含まれる「がん特有のにおい」に反応する線虫を使い、がんのリスクを判定します。判定可能ながん種は15種類です。
  • miSignal(マイシグナル)
    尿中のマイクロRNA(遺伝子)をAIで解析し、現在のがんと将来のがんのリスクを判定します。判定可能ながん種は7種類です。
    ※マイシグナルに関して、当院は実施機関として登録してありますが、かかりつけの方のみの対応となっております。料金など詳細に関しては現在調整中です。

2024年10月25日
乳がんの特殊タイプ、小葉癌について

乳がんには、いろいろな種類があります。乳房内のどこでがんができているか、どんな特徴があるかによって分類されています。
乳がんのがん細胞が周囲の組織に浸潤しているかどうかで、浸潤性乳がんと非浸潤性乳がんに分けられます。浸潤性乳がんの大部分は浸潤性乳管癌です。
浸潤性小葉癌は特殊型乳がんの一つですが、特殊がんの中では一番頻度の高いがんです。

乳がんの分類

乳がんの分類

  • 浸潤性乳がん
    浸潤性乳管癌
    特殊型乳がん
    ・浸潤性小葉癌
    ・管状癌
    ・篩状癌
    ・粘液癌 など
  • 非浸潤性乳がん
    非浸潤性乳管癌
    非浸潤性小葉癌

※浸潤とは、がん細胞が小葉または乳管の壁を破って周囲の組織に広がることを言います。
※非浸潤がんとは、とても初期のがんのことです。

小葉癌とは?

図.乳腺の構造
図.乳腺の構造

小葉癌とは、乳腺の小葉から発生する乳がんの特殊型の一種で、発生頻度は乳がん全体の5~10%と言われていて、50代以上の方に多いとされています。
小葉は乳汁を作る器官で、乳汁は乳管を通って乳頭へと出ていきますので、小葉から乳頭まではつながっています。
小葉にがんができると小葉癌、乳管にがんができると乳管癌と呼ばれます。

小葉癌の特徴

小葉癌は、初期段階ではしこりを形成しにくく、ある程度しこりが大きくなった段階で発見されることが多いです。また、他の乳がんよりも両側に発症するケースや両側多発に発症することも多いです。
小葉癌は、乳房の乳腺構造が乱れることでいろいろな症状を示すことも多いですので、日頃のブレストアウェアネスがとても大切です。乳房の左右差を感じたり、皮膚のへこみ、乳頭の陥没などの見た目の変化がある場合は乳腺外科を受診しましょう。
小葉癌の治療に関しては乳管癌と大きく変わらず、切除可能な場合は手術を行い、術後にサブタイプごとの薬物治療を行います。ただし、消化管や腹膜、卵巣などへの特殊な転移をする可能性があるので、術後のフォローアップが大切です。

2024年09月24日
乳房が痛む原因とは?

乳房がチクチク痛む、触ると痛いなど、乳房の痛みを一度は経験したことがある方も多いのではないでしょうか?
では、乳房の痛みの種類やその原因などを見ていきましょう。

①乳腺症の痛み

乳腺症は、30歳台~40歳台の女性に多く、乳房に痛みやしこりを感じたり、乳頭から分泌物が出たりする疾患の総称です。
乳腺症のチクチクした痛みの原因は女性ホルモンが関係しているとされていて、閉経とともに軽快していきます。
痛みそのものは継続するものではなく、周期的に変化します。
一般的に、排卵後~生理前までの黄体期に痛みが強く出ることが多いです。

図.生理周期とホルモンの関係

図.生理周期とホルモンの関係

黄体ホルモンが多い時期は乳腺が張ります

②乳腺炎の痛み

乳腺炎は、授乳期かそうでない時期かで分類されます。
授乳期では、うっ滞性乳腺炎が多く、乳汁が詰まってしまうことが原因となります。
マッサージで改善する場合がほとんどです(乳瘤)が、なかなか改善しない場合は乳腺外科へご相談ください。
また、化膿性乳腺炎といって、乳頭から細菌が入り、乳腺内に膿が溜まってしまうこともあります。痛みと共に発熱を伴うことが多いですので、早めに受診しましょう。
非授乳期の乳腺炎としては、乳輪下膿瘍や肉芽腫瘍性乳腺炎といったものがあります。陥没乳頭の方は注意が必要です。
乳腺炎の痛みはズキズキと痛いです。痛みを和らげるのには乳房を冷やすのが効果的です。保冷剤をタオルなどでくるんで冷やしましょう。

③更年期の痛み

女性の更年期とは、閉経前の約5年間と閉経後の約5年間の計約10年間を指します。
この閉経に向かう40代後半以降に女性ホルモンのバランスが悪くなると、乳腺症が強く出ることがあります。なお閉経後には症状が落ち着くことがほとんどです。

乳腺症の治療

乳腺症は、年齢とともに現れる乳腺の生理的な変化によって生じるものです。良性の疾患であるため、基本的には積極的な治療も必要ないとされています。
しかし、経過観察を行う中であまりにも症状が重かったり、痛みが続く場合は対症療法を行うこともあります。

乳腺炎の治療

乳房内に膿が溜まってしまっている場合は、抗生剤の点滴や排膿(膿を出す)などの処置が必要になります。乳房の強い痛みや発熱がある場合は早めに病院を受診しましょう。

まとめ

乳腺症や乳腺炎の痛みの違いや治療などを記載しましたが、まれに炎症性乳がんなど、痛みや炎症を伴う乳がんが見つかる事もあります。痛みが続く場合や見た目に変化がある場合などは、放置せずに乳腺外科を受診しましょう。

2024年08月21日
外傷時に知っておきたい事と注意するポイント

最近、外出する機会も増え、当院にも外傷で来院される方が増えています。
夏場は肌の露出も多い為、特に注意が必要です。
外傷とは、すり傷、切り傷、骨折、やけど、噛み傷、虫刺されなどがありますがここでは、すり傷や切り傷などの軽度の外傷について記載します。

外傷時の処置の仕方

全ての外傷の処置で共通していることは、患部を清潔に保つことです。
流水でしっかり洗い流し、清潔なガーゼ(無ければハンカチなどの布、ティッシュは×)で傷口を保護しましょう。消毒は必要ありません。
金属やガラス片などによる深い切り傷や刺し傷は止血をしてすぐに医療機関を受診しましょう。また、犬や猫による噛み傷は、ペットであっても感染症の危険がありますので、すぐに医療機関を受診しましょう。
止血する際は、出血している傷口をガーゼやハンカチなどを当て、その上から手のひらで強く抑えてしばらく圧迫します。出血を止めるために手足を細いひもや輪ゴムなどでしばることは、神経や筋肉を損傷する恐れがあるため行わないようにしましょう。
※頭部(打撲)や目の周りの外傷については、専門医の判断が必要になる場合もあるので、脳神経外科や眼科を受診するのをおすすめします。

病院を受診する目安

    病院を受診する目安

  • 深い切り傷の場合(縫合が必要なもの)
  • 異物(砂やガラスの破片など)が混入している場合
  • 強い痛みや感染が疑われる場合
注意する感染症

ここ10年で感染者が増えているのが、「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」です。溶連菌というどこにでもいる菌ですが、まれに強い毒性のあるタイプでは、傷口から体内に侵入し、劇症型感染症を引き起こします。
高齢者に多いですが、50代以下の若い世代でも増えています。昨年は941人でしたが、2024年は6月の時点ですでに1000人を超えていますので注意が必要です。

近年の日本国内での劇症型溶血性レンサ球菌感染症の報告状況
2019 2020 2021 2022 2023 2024(~6/16)
報告数 894 718 622 708 941※ 1060※

※速報値

劇症型溶血レンサ球菌の経過

劇症型溶血レンサ球菌の経過

2024年07月29日
NPOふじのくに乳がん交流サロンの設立について

NPOふじのくに乳がん交流サロン

2023年12月に、NPO法人 ふじのくに乳がん交流サロンが設立されました。代表理事は静岡県立静岡がんセンターの西村誠一郎先生です。当院の大澤浩一郎副院長も、副代表理事として参加しております。今回は、ふじのくに乳がん交流サロンのホームページが立ち上がりましたので、理念やこれからの展望などをご紹介したいと思います。

Mission(われわれの使命)

乳がんトータルサポート(乳がんに関わる諸問題の解決)

VISION(将来像)

乳がんで苦しまない社会の実現を目指して

VALUE(行動指針)
  • 乳がん(検診)の啓発
  • 乳がん罹患者、その家族(遺族)のサポート
  • 主に静岡県東部地域での乳がん診療の均てん化
  • 治療法の改良(臨床試験・治験)
  • 行政・地域コミュニティと協働で社会問題解決

今回、このNPO法人の設立にあたって、第一に静岡県東部地域の乳がん検診受診率の向上を目指しています。乳がんは早期発見、早期治療をすることで完治が可能ながんです。できるだけ多くの方にこの情報を知っていただき、検診を受診していただきたいと考えています。

今後は、乳がん患者さんのおしゃべり交流会や講演会などを開く予定だそうです。新たなイベントの情報など、詳しくは公式ホームページをご確認ください。

2024年06月24日
ブレストアウェアネスの動画視聴コーナーを設置しました

2024年度の乳がん検診(沼津市、裾野市、清水町、長泉町)では、少しでも多くの方に乳がん検診を受けていただくために、視触診が廃止になりマンモグラフィのみとなりました。当院では、ブレストアウェアネス(乳房を意識する生活習慣)の啓発に力を入れており、撮影を終えたら約8分ほどの動画を見ていただいています。

乳がんは、自分で早期発見することのできる数少ないがんです。今回の検診で異常が無くても、次の検診までの2年間にがんが発生する可能性もありますので、自分の乳房の普段の状態を知り、変化を早く見つけることが大切です。

動画の中では、実際のブレストチェックの手順を詳しく説明しています。

乳がん検診を受けに来られた方でなくても動画を視聴していただけますので、ぜひ2階の動画視聴コーナーをご利用ください。ご希望の方は受付に声をかけてください。
※6月~11月の検診期間中はお待ちいただくことがあります。

乳がん触診モデルの設置

動画視聴コーナーには、乳がんのしこりを触って体験できる「乳がん触診モデル」というものも置いてあります。自分の乳房を触ってもよくわからないという方は一度触診モデルを触ってみてください。

動画視聴コーナー

動画視聴コーナー

乳がん触診モデル

乳がん触診モデル

実際に触って、乳がんのしこりを見つけてみてください!

2023年10月30日
乳がん検診の視触診について

視触診とは

ピンクリボン

乳がん検診にはマンモグラフィと視触診という検査があり、今年度は両方が検査に含まれています。
視診は、乳房の大きさや形、ひきつれ・腫れ、皮膚のただれや異常分泌がないかを医師が目で観察します。
一方、触診は乳房を実際に触ってみて、しこりがないかを判断します。しこりがある場合は、しこりの大きさ、形、硬さ、表面の状態などを確認します。また、乳房以外にも脇の下や鎖骨の上のリンパ節も調べます。

視触診が廃止の方向へ

平成27年の厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会中間報告書」において、乳がん検診の視触診については推奨しないと報告されました。そのため、静岡県でも乳がん検診で視触診を廃止する自治体が増え、35ある自治体のうち、視触診を行っていない自治体は24にのぼります。近いうちに沼津市でもがん検診で視触診が廃止になるかもしれません。

視触診を行っている自治体 11
視触診を行っていない自治体 24

(2023年度 静岡県)

ブレストアウェアネスの励行が必要

乳がん検診でマンモグラフィのみとなった場合、視触診は自分で行うこととなります。当院としましても、今後はブレストアウェアネスの励行に力を入れていきます。
視触診がなくなる事に不安を感じる方もいるかと思いますが、2年に一度の検診の時の視触診だけよりも、月に一度のブレストアウェアネスを心がけることの方が効果が期待されます。

毎月19日はピンクの日

ピンクリボンフェスティバルという団体が、毎月19日を「ピンクの日」としてブレストチェックをはじめとしたブレストアウェアネスの推奨を行っています。
ブレストチェックをやるタイミングがわからない、やるのを忘れてしまうという方も多いと思いますので、今後、当院でも毎月19日を「ピンクの日」としてLINEで配信をしていくことにいたします。一緒にブレストチェックをしていきましょう。

ピンクの日

※生理がある方は、胸のはりの少ない生理後1~2週間の間に行いましょう。

2023年8月25日
J.POSHの活動について

ピンクリボン

皆さんは、J.POSH(ジェイ.ポッシュ)という団体をご存知ですか?
ピンクリボンは見たり聞いたりしたことがある方も多いと思います。
今回は、アメリカで発祥したピンクリボンを日本で広めたJ.POSHについてご紹介します。

J.POSHとは、日本のピンクリボン運動を始めた認定NPO法人のことです。

≪受けよう乳がん検査 乳がん早期発見で笑顔の暮らし≫を合言葉に、「乳がんで悲しむ人を1人でも少なく」を目指して活動されています。
2022年で20周年を迎えられました。
乳がん検診の啓発活動だけでなく、乳がんに起因する困難に対して目を向け、各種助成金、奨学金の提供などをされてきております。

当院でも、その活動に賛同し、毎年マンモグラフィサンデーに参加しております。
今年は10月15日(日曜日)に開催します。詳細はホームページのお知らせページに記載しておりますので、受診を希望される方はご確認ください。

今回は、その活動の一部ですが、身近で素晴らしい取り組みを紹介します。

ピンクリボン温泉ネットワーク

ピンクリボン温泉ネットワークとは、J.POSH温泉パートナーへの参加を通じ、乳癌患者さんが専用入浴着を着用しての大浴場の利用可能に積極的な施設(温泉地・温泉旅館)の全国ネットワークのことです。

専用入浴着

乳がん患者さんのなかには、外見を気にされ、温泉に行くのをあきらめてしまう方がおられます。家族風呂や貸切風呂、風呂つきの部屋もありますし、今回紹介したバスタイムカバーを利用したりといった、入浴の工夫で温泉を楽しめるようになります。

サイト内では、バスタイムカバーの販売や温泉施設向けにポスターの販売も行っています。
ご興味のある方はサイトをご覧ください。

来年の春に、静岡県東部の乳腺関連のNPO法人が立ち上がります。
詳細が決まりましたらまたご報告させていただきます。

2023年4月13日
乳がんを早期に見つけるためには検診を受診しましょう!

1期で見つければ10年生存率は94%です。*2㎝以下のがん

がん検診とは、がんの早期発見を目的とした検査です。がん検診には、がんの種類によって異なる検査方法があります。例えば、胃がん検診、大腸がん検診、肺がん検診、乳がん検診、子宮頸癌検診などがあります。 一般的に、健康な人でも定期的に受けることをお勧めします。
国立がん研究センターの発表している部位別がん罹患率のデータを見ると、がん検診を行っている部位は、罹患率が高いことがわかります。
なかでも女性の乳がん罹患率は高く、近年増加傾向にあります。数年前までは女性の11人に一人といわれていましたが、9人に一人が乳がんになる計算になります。
一方、部位別のがん死亡率を見ると、乳がんの死亡率は大腸や肺に比べて低いです。
この事から、乳がんに罹患する方は増えているが、乳がんで死亡する方は少ないと言えます。
検診によって早期発見できたら治る可能性が高いのが乳がんですので、40歳を超えたら2年に一度の乳がん検診は必ず受診して、ご自身や家族を守りましょう。
大沢医院は、沼津市、裾野市、清水町、長泉町の乳がん検診実施施設です。受診票が届いたらお早めにご予約の上受診ください。

部位別がん罹患率 部位別がん死亡率 年齢階級別罹患率

引用元HP:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より