私たちの血管は、加齢とともに弾力性を失い、どうしても血圧の上昇リスクは高くなっていっていしまいます。一口に高血圧と言っても、1日のうちで朝晩によって、季節によっても血圧は変動します。安静時の血圧が135/85を超えたら、医療機関を受診しましょう。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2020によると、血圧の基準は以下の通りです。
コラム
Column
Column
脂肪肝とは、何らかの原因で肝臓に脂肪が蓄積している状態のことで、日本人の4人に1人が脂肪肝になっていると言われています。
健康診断で肝機能に異常があると言われて調べると、脂肪肝だったということも最近は多いです。脂肪肝は自覚症状もないためわかっていても治療していない方も多いと思いますが、脂肪肝炎や肝硬変などにもつながる病態です。
脂肪肝は重度になると元には戻りませんので決して甘くみてはいけません。
脂肪肝は、肥満や運動不足、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が原因と考えられています。また、過激なダイエットやリバウンドも肝臓の代謝障害を引き起こしやすいので注意が必要です。
脂肪肝で多いのはアルコール性脂肪肝です。アルコールを摂取すると、肝臓で中性脂肪が合成されます。中性脂肪のピークはお酒を飲んでから12時間後、合成された中性脂肪が体の各器官に運び去られるのはさらに12時間後です。毎日のようにお酒を飲んでいると中性脂肪の処理能力が追い付かず、脂肪肝になってしまうのです。週に2日程度休肝日を作るのが良いとされているのはそのためです。
近年は、非アルコール性脂肪肝という、アルコールを飲まない方の脂肪肝が増えてきいます。肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が原因になるものもありますが、それ以外の体質(遺伝)や腸内環境などが原因になることもわかってきました。非アルコール性脂肪肝の20%が肥満でないとの報告もあります。
脂肪肝は脂肪肝炎を経て肝硬変に移行し、最終的には肝細胞癌なることもあります。
年間37,000人ほどが肝臓がんと診断されていて、死亡者数は年間24,000人、5年生存率は35.8%と予後の悪い病気です。(2019年がん統計より)
脂肪肝は放置せずにすぐに治療を開始しましょう!
ALT、AST、γ₋GTP、中性脂肪など、血液検査で異常が見られたら、まずは身体検査、飲酒や運動などの生活習慣に関する問診、腹部エコー検査で脂肪肝かどうか、さらにその程度を確認します。脂肪肝の診断がついたら、食事の見直しや運動療法を開始します。脂質や糖質を減らし、野菜中心の食生活に変えていきましょう。
現在の体重の7~10%体重を落とすことを目標に運動なども行いましょう。
当院では、管理栄養士による栄養指導も行っております。食事を見直したいがどうすれば良いかわからないなど、質問がございましたら診察時に医師にご相談ください。
また、毎月はじめに管理栄養士おすすめのレシピを公式LINEにて配信しております。
12月は脂肪肝の方におすすめの野菜スープを配信する予定ですのでぜひ公式LINEの登録もよろしくお願いします。
ウイルス性肝炎とは、ウイルスが原因となる肝炎のことで、A型、B型、C型、D型、E型があります。それぞれの型によって感染経路や症状、ワクチンの有無なども異なりますので、正しく理解することが大切です。
また、EBウイルスやサイトメガロウイルスも肝炎を引きおこす可能性のあるウイルスの一つです。
※D型肝炎はB型肝炎の感染下のみで起こり、日本では稀です。
A型、B型、E型ウイルスによるものが多く、急激に肝細胞が障害され、発熱、全身倦怠感、黄疸などの症状を起こします。ほとんどは自然治癒で直りますが、一部は劇症肝炎になり、命に係わる事もあります。特にB型肝炎に感染した時は注意が必要です。
B型、C型肝炎ウイルスによるものが多く、長期間にわたり肝障害が持続します。徐々に肝臓が繊維化し、肝硬変になったり肝細胞癌になったりすることがあります。原発性肝癌のほとんどが、肝炎ウイルスが原因と言われています。
A型、E型肝炎ウイルスは、発展途上国などの浄化されていない水や、食べ物(生ガキ、生のシカ肉、生のイノシシ肉)などで感染することが多い。
B型肝炎ウイルスは母子感染する確率が高いと言われていますが、産後のワクチン接種で予防する方法があります。
B型、C型肝炎ウイルスは血液感染(針刺しなど)や性交渉でも感染します。
本人の自覚がないまま感染していることもありますので今まで一度も肝炎ウイルスの検査を受けたことが無い方は、少なくとも一回は検査を受けることをお勧めします。特に昭和23年~昭和63年に集団予防接種を受けた世代の方は注意が必要です。
A型、B型はワクチンがありますが、C型やE型はワクチンがありません。
発展途上国へ旅行または出張する場合はA型肝炎のワクチンを保健所などで事前に接種しておくと良いでしょう。
B型肝炎ワクチンは、平成28年10月以降生まれの子供は定期接種に含まれていますので接種しておくと良いでしょう。また、医療従事者や家族に感染者がいる場合など、感染する可能性が高い場合は接種しておきましょう。
A型、E型に関しては自然治癒することがほとんどで、治療薬はありません。
B型、C型については治療薬があり、ウイルスを減らしたり、免疫機能を高める治療を継続して行います。
B型肝炎、C型肝炎に感染していることが分かった時点で、専門の病院で精密検査を行い、速やかに治療を開始することが大切です。
肝臓は、体の中で、とても大切な働きをしている臓器です。
肝臓には大きく分けて、3つの働きがあります。
食物から摂取した栄養分をエネルギーに加工して全身に送り、余った分を肝臓に貯蔵して、いざという時にそれを分解してエネルギーに変換します。その一連の動きを代謝といいます。
体の組織を形作っているたんぱく質は、新陳代謝によって分解され毒性のあるアンモニアを生じますが、肝細胞はこれを尿素という無害な物質に変えます。この尿素は、腎臓から尿として排泄されます。
また、アルコールは、肝臓で分解され、有毒のアセトアルデヒドを経て無毒のアセテート(酢酸)になります。お酒に酔っている状態は、分解が追い付かず、血中のアセトアルデヒドの量が増えているために起こります。
胆汁は、肝臓から分泌される弱アルカリ性の黄色い分泌液です。分泌量は1日に1リットルほどあり、胆のうで約8倍に濃縮されて貯蔵されます。
肝臓に関係 のあるもの |
正常範囲 |
---|---|
AST(GOT) | 10~30 |
ALT(GPT) | 5~45 |
γーGTP | 男性:75以下 女性:45以下 |
LDLコレステロール | 70~139 |
中性脂肪 | 35~149 |
肝臓や心臓などの細胞に含まれるアミノ酸造成を促進する酵素です。
ASTのみが上昇すると、急性肝炎や心筋梗塞などを疑います。
AST、ALTの両方が上昇すると、急性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝癌などを疑います。
肝や腎に含まれる酵素、過度の飲酒に影響されます。上昇するとアルコール性肝障害、急性肝炎、肝硬変などを疑います。
血管に付着すると酸化し、動脈硬化の原因になります。
糖質やアルコールの摂り過ぎなどで上昇し肥満、脂肪肝、糖尿病の原因になります。
男性は40代から、女性は50代から上昇傾向にあります。男性の場合は、仕事などによる生活習慣の乱れなどが原因と考えられ、女性は閉経が原因と考えられています。
強い倦怠感がある、黄疸が出た、尿の色が濃い(茶褐色)、食欲不振、顔色が悪い、などは、肝疾患の症状と言われていて、すぐに病院で治療が必要です。
しかしながら、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出るまでに時間がかかります。そのため、特定検診や職場の健康診断などで定期的にチェックすることが病気の早期発見につながります。
血液検査に異常があっても症状が無いからといって病院を受診しない方も多いです。病気が進行してからでは手遅れになる場合もありますので早めにかかりつけ医に相談しましょう。
厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」(令和元年)によると、運動習慣のある者の割合は、男性で33.4%、女性で25.1%であり、10年前と比べると、男性では有意な増減はなく、女性では有意に減少しています。
年齢階級別でみると男性では40歳代が最も少なく、女性では20歳代~40歳代で少ない結果となりました。
※運動習慣があるとは、「1日30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上続けている」ことを言います。
健康的な生活を送るためには、運動習慣をつけることが大事です。
運動を習慣づけることにより、肥満になりにくいだけでなく、生活習慣病の予防など様々なメリットがあります。どのような運動が良いか、どのようにしたら続けやすいのかを考えてみましょう。
歩く速度は、普通にしている時よりは呼吸が少し上がるが、一緒に歩いていると話ができる程度のスピードで良い。
背筋を伸ばし、しっかり前を向き、足はある程度大きくふみ込み均一な歩幅で、大きく腕を振りましょう。
足首や膝などに痛みが出なければランニングも良いです。ウォーキングに慣れてきたら、少しづつランニングを加えていくという方法でも良いでしょう。
膝などの関節にかかる負荷が軽減されるので、中高年の運動にお勧めです。
水中ウォーキングだけでも筋肉の強化に効果があります。ウォーキングが物足りなくなったらスイミングに移行しましょう。
学生の頃に経験したことのあるスポーツであれば、始めやすいと思います。何人かで行うスポーツであれば、仲間と共に楽しむこともできますので、続けやすいですね。ただし、ケガには気をつけましょう。
運動習慣をつけたいと思っているけど一歩踏み出せずにいる方、これを機会にウォーキングから始めてみませんか?
2024年元日の能登半島地震が記憶に新しいですが、その後も日本各地で地震が発生しています。静岡県東部は、昔から地震や水害について対策をしている地域ですが、近年は、線状降水帯などで集中豪雨が発生することによる水害が大きな問題となっています。大沢医院の北には狩野川が流れ、河口からは約3キロの距離にあります。南海トラフ地震が発生したら、10Mを超える津波が来る可能性もあります。
今回は大沢医院として、水害時の対応を確認するため、6月8日(土)に水害を想定した防災訓練を行いました。
おおまかな担当を決め、職員間でも情報の共有をできるように訓練を行いました。これから台風が来る、大雨の予報があるといった、水害の危険がある場合は、その程度に応じて事前に診療を中止する可能性があります。また、診療中に大雨警報や洪水警報などが発令された場合は、院長の判断によって診療中止になる可能性もあります。
遠方の方や川の近くにお住みの方に関わらず、警報が出ている場合は無理に来院せず、自宅待機をお願いします。
また、来院予定だった日に大雨や台風などで休診になる場合もございますので、常備薬に関しては、残りが1週間分を切らないうちにご来院ください。
6月18日(火)は午前中より大雨が降り、正午ごろに大雨警報が発令されましたので、午後からの診療を休診としました。ご予約いただいていた皆様には午前中から連絡を取り、予約の変更を行いました。ご協力ありがとうございました。今回は患者様の安全を第一に、職員も無事に帰宅することができました。これから秋にかけて台風シーズンに突入します。今後ともご理解ご協力をお願い致します。
「沼津市公式防災アプリ」は、沼津とつながるすべての人のために作成された防災アプリです。様々な機能を備えており、災害発生時・平常時を問わず利用できます。最新の情報を確認し、行動しましょう。
詳しくは沼津市のホームページをご覧ください。
令和元年に厚生労働省が行った国民健康・栄養調査によると、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、男性19.7%、女性10.8%でした。成人男性の5人に1人、成人女性の9人に1人が糖尿病である計算になります。男性は50代から急激に増加しています。
厚生労働省 国民健康・栄養調査(令和元年)より
インスリン(膵臓で生成される消化酵素)の作用不足によって血糖値の高い状態が続く病気のことです。
インスリンの分泌が欠乏して絶対量が不足している。10~20代までの若い方に多いので若年性糖尿病と言われています。
遺伝的要因(家族歴がある)に加え、生活習慣が原因で起こります。
糖尿病の方のほとんどは2型糖尿病で、40歳を過ぎて発症することが多いです。自覚症状がない場合が多いですが、口喝や頻尿などの症状で受診する方もおられます。
高血糖が続くと、様々な合併症を引き起こします。特に心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、手足の壊死、神経障害、腎障害、歯周病などは注意が必要です。
糖尿病は、血液中のブドウ糖が高くなる病気です。血液中にウイルスが入ってきたとき、血中の白血球が病原体を攻撃して守ってくれますが、高血糖だと白血球の働きが落ちてしまうことがわかっています。そのため、糖尿病の方は感染症にかかりやすく、重症化もしやすいと言われています。
また、糖尿病の患者さんは眼底出血や糖尿病黄斑症という目の病気にもなりやすいです。視力低下やものが歪んで見えたりしますので、目に異変を感じたら眼科を受診しましょう。
糖尿病であるかどうかは、尿検査や採血で総合的に判断します。
(+-)50㎎/dL
(+)100㎎/dL
(2+)250㎎/dL
(3+)500㎎/dL
(4+)1000㎎/dL
血糖値 126㎎/dL以上
HbA1C(NGDP) 6.2%以上
※HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、直近1~2か月の血液中の血糖の量を反映しています。今現在の値である血糖値よりも重要視されます。尿検査や採血で異常が出たら、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。
糖尿病の方は糖質制限を厳密に行い、血糖のコントロールを行う必要がありますが、血糖値に異常がない方でも、今後糖尿病にならないように食事に気を付けることで予防につながりますので、以下のことを意識して食事を取るようにしましょう。
バランス良く
よく噛んで
塩分・糖分・脂質を控えめに
今年度も6月から住民健診がスタートします。検診が始まる前に、がん検診の目的と大切さを知っておきましょう。
がん検診の目的は、無症状のうちにがんを早期に発見し、適切な治療を行い、がんによる死亡を減少させることです。
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性65.5%、女性51.2%です。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 前立腺 | 大腸 | 胃 | 肺 | 肝臓 |
女性 | 乳房 | 大腸 | 肺 | 胃 | 子宮 |
国立がん研究センター 最新がん統計より
市町村で行われるがん検診では、罹患数が上位のがんを中心に検査を行います。
現在、胃がん(バリウムまたは胃カメラ)、大腸がん、肺がん、肝炎ウイルス、前立腺がん、子宮頸がん、乳がん、の7種類の検査について助成を行っています。
日本人がなりやすいがんばかりですので、対象のがん検診は必ず受診しましょう。
検査の方法について詳しく見ていきます。
胃がん検診には、バリウム検査と内視鏡検査の2種類があります。35歳以上の方はバリウム検査、50歳以上の方は2年に1回内視鏡検査が選択できます。
当院でも年齢に応じてバリウム検査と内視鏡検査のどちらかを選択できます。
大腸がん検診では、便潜血検査という便に潜む血液の有無を調べる検査を行います。
がんやポリープがあると、便に血が付着します。便の表面を採便用の棒でまんべんなくこすり、通常2日分採取します。
肺がん検診の検査方法は、胸部X線(レントゲン)検査と、喀痰(かくたん)検査です。
喀痰検査は、原則50歳以上で、「喫煙指数」が600以上の方が対象です。
※喫煙指数とは、「1日に吸うたばこの平均本数」×「喫煙年数」で計算されます。
肝炎ウイルスの検査方法は血液検査です。B型肝炎ではHBs抗原が陽性になり、C型肝炎ではHCV抗体が陽性になります。肝炎に感染してもすぐには発症しないですが、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌などへの病気の進行を予防することが大事です。
肝炎ウイルス検査は、過去に一度も検査したことが無い方が対象です。
前立腺がんの検査方法は血液検査で、PSAと呼ばれる腫瘍マーカーの値を調べます。
前立腺がんの罹患率は50歳を過ぎたら急激に増加しますので、50歳以上の方は定期的に受診しましょう。
子宮頚がん検診は、子宮の入り口部分の表面を柔らかいヘラやブラシでこすって細胞を採取して調べます(細胞診)。
子宮頸がんは20歳を過ぎたら罹患率が増加しますので、2年に1回の検診をすすめています。生理時を避けて受診しましょう。
乳がん検診の方法は、マンモグラフィ検査です。40歳を過ぎたら2年に1回受診しましょう。
今年度より視触診が廃止になりましたので、当院ではブレストアウェアネス(乳房を意識する生活習慣)の動画を視聴していただき、乳がんに対する意識を高めるようにお伝えしています。
当院ではすべて予約制となっています。
受診券が届いたらお早めにご予約ください。
高尿酸血症とは、血液中の尿酸が高い状態を示します。通常、血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると、高尿酸血症と診断されます。DNAの合成に不可欠な物質であるプリン体の産生過剰あるいは排泄機能の低下が原因です。
尿酸値が高いと、痛風や尿路結石の原因となります。圧倒的に男性に多い病気ですが、閉経後の女性も注意が必要です。高尿酸血症は遺伝の影響も大きい病気ですので、家族に高尿酸血症の方がいる場合は注意が必要です。
高尿酸血症には以下の4パターンがあります。
どの型かによって治療薬が変わってきます。
高尿酸血症であるかどうかは、全身の体の状態を見るために、身長・体重・腹囲・血圧・血液検査・尿検査を行います。
尿酸値が高い方は、まず生活習慣の改善に取り組んだうえで、薬物療法を行い、血清尿酸値6.0以下を目指します。
痛風発作はつらい痛みを伴います。血液検査で尿酸値の高い方は早めに医療機関を受診しましょう。
※高血圧の治療などで、利尿剤を飲んでおられる方や、慢性腎臓病の方は尿酸値が高くなることがあります。
尿酸のもととなるプリン体は、ほとんどの食品に含まれているうえ、尿酸値を上げる要因はプリン体の多い食べ物の摂取のみに限りません。とはいえ、「高プリン体食品」の過剰摂取は控え、たまに少量楽しむ程度にしましょう。
高プリン体食品の例
また、尿酸値が高いと、尿路結石になりやすいので、水分を十分にとりましょう。
夏場は特に注意が必要です。量の目安は1日2~2.5Lです。
脂質異常症はかつて「高脂血症」と呼ばれており、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪のいずれかが高いか、あるいはHDLコレステロールが低い人は「高脂血症」と診断されていましたが、2007年のガイドラインの改正に伴い、「高脂血症」から「脂質異常症」と診断名が変更されています。
脂質異常症の発症には、食べ過ぎ、運動不足、肥満、喫煙、アルコールの飲みすぎなどが関係していると言われています。また、遺伝的な要因によって起こる「家族性コレステロール血症」と呼ばれているものもあります。このタイプは、遺伝性ではないものに比べてLDLコレステロールが著しく高いのが特徴で、薬も効きにくいため、早めの治療が必要です。
脂質異常症は3つの区分に分けられており、採血結果の診断基準は以下の表の通りです。
脂質異常症 の区分 |
診断基準 |
---|---|
高LDLコレステロール血症 | LDLコレステロールが140㎎/dL以上 |
低HDLコレステロール血症 | HDLコレステロールが40㎎/dL未満 |
高中性脂肪血症 | 中性脂肪が150㎎/dL以上 |
LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っている一方、過剰になると血管壁にたまって心筋梗塞や脳梗塞などの症状を引き起こす要因になることから、別名「悪玉コレステロール」と呼ばれています。
一方のHDLコレステロールは、組織にたまったコレステロールを正常に保つ働きがあることから、別名「善玉コレステロール」といわれています。
さらに、最近の特定検診では、「non(ノン)-HDLコレステロール」という値をチェックすることもあります。新たに脂質異常症の診断基準に加わりました。
non-HDLコレステロールは170㎎/dL以上で脂質異常症となります。
脂質異常症には自覚症状もありませんし、痛みもありません。しかし、血中のコレステロールが高い状態のままを放置していると、血管の内側にコレステロールが溜まり「プラーク」となって血管壁に蓄積されてしまいます。このプラークによって動脈硬化になり、高血圧の原因となります。
また、中性脂肪が高い場合、急性膵炎のリスクが高まると言われています。
血液検査で脂質異常症と指摘があったら早めに医療機関を受診しましょう。
食事により摂取した糖質や脂質は、中性脂肪として一旦体内に蓄積されます。体を動かすエネルギー源である糖質が足りない時に、蓄えていた中性脂肪を分解してエネルギーに変えますので、有酸素運動などが脂肪燃焼に良いとされています。
厚生労働省では、「1日一万歩あるくこと」を推奨していますが、日々の生活のなかで体を動かす習慣をつけることで脂質異常症の予防を心がけましょう。
また、脂質異常症の予防や改善には、食事療法が効果的です。以下のポイントを心がけて毎日の食事を改善していきましょう。
生活習慣の改善で血液データが改善しない方は服薬を開始します。薬を服用していても、引き続き食事療法は継続して行うようにしましょう。
日本は超高齢化社会になり、それに伴って認知症患者も増加の一途をたどっています。
認知症高齢者の数は、2012年の時点で全国に約460万人と推計されており、2025年には700万人に達する見通しです。これは、65歳以上の5人に1人が認知症である計算になります。
今現在は大丈夫でも、5年後、10年後に家族や自分が認知症になる可能性もあります。予め認知症とはどういった病気かを知っておいて、いざという時に素早く対応できるようにしておきたいですね。
人は誰しも年をとると、思い出したいことがすぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが困難になったりしますが、「認知症」は「加齢によるもの忘れ」とは異なります。
加齢によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ | |
---|---|---|
体験したこと | 一部を忘れる | 全てを忘れている |
物忘れの自覚 | ある | ない |
日常生活への支障 | ない | ある |
症状の進行 | 極めてゆっくり進行する | 進行する |
認知症の初期で見られる症状には、以下のようなものがあります。
さらに進行すると、以下のような症状が現れます。
認知症になりやすいきっかけとして、環境の変化があげられます。定年退職後に社会や地域との関りが減ってしまったり、外出の機会が減ってしまったりすることも要因の一つです。運動や社会参加などを積極的に行うことで、認知症の予防に効果があると言われています。
当院では、認知機能の検査として神経心理検査(長谷川式簡易知能評価スケール)を行い、認知機能の低下が見られれば脳神経外科や神経内科がある病院への紹介を行っております。専門の病院では、より詳しい画像検査や心理検査を行います。
認知症の治療には、「薬物治療」とリハビリテーションなどの「非薬物治療」があります。認知症は、完治させるのが難しい病気ですが、進行を遅らせることはできます。どのような症状がでているか、何が原因かで治療方法は異なりますが、早期発見・早期治療が大切です。本人に自覚がない場合も多いですので、家族の様子で気になる症状がある場合はお早めにご相談ください。
私たちの血管は、加齢とともに弾力性を失い、どうしても血圧の上昇リスクは高くなっていっていしまいます。一口に高血圧と言っても、1日のうちで朝晩によって、季節によっても血圧は変動します。安静時の血圧が135/85を超えたら、医療機関を受診しましょう。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2020によると、血圧の基準は以下の通りです。
高血圧の原因は動脈硬化によるものが大半と言われています。当院では、過去の検診の血液データや尿検査などを総合的に見て判断していきます。
高血圧で受診をしても、すぐに降圧剤を処方される場合と、生活習慣を見直すことで減圧が可能である場合があります。
正しい血圧の測定の仕方で、生活を改善しながら自宅で2週間、毎日血圧を測定していただき、投薬が必要かどうか判断します。
また、動脈硬化の程度を知ることができるABIという検査も行います。
これらの病気は、ご存知のとおり、命を落とす危険性の高い病気です。命が助かっても、手や足に麻痺が残ったり、言葉が話せなくなったりして、日常生活に支障が出てしまうこともあります。
高血圧の治療を放置してしまうと、気づかないうちに病気が進行していってしまいますので早めの受診が大事です。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって心筋梗塞や脳卒中を引き起こす現象のことです。お風呂に入る際は、浴室の床や脱衣所を温め、かけ湯をしたりしてなるべく温度変化が少なくなるようにしましょう。
高血圧と診断された方、またはその予備軍の方は薬だけ飲んでいれば良いわけではありません。日常生活を見直し、改善していきましょう。
平成28年の国民生活基礎調査によると、便秘有症者率は、男性2.5%、女性4.6%で、20~60歳では圧倒的に女性に多く、60歳以降は男女とも加齢に伴って増加し、80歳以上の高齢者では男女差はなくなります。
60代から増加する原因としては、加齢に伴って腸の動きが悪くなったり、便を排出する筋力が落ちてしまうことが考えられます。
当院でお渡ししているお通じ手帳です。
便秘の自覚のある方はお通じ手帳で便通の記録をします。
自分が便秘かどうかのチェックにもなると思いますので、
ご希望の方は診察時に申し出てください。
便秘の種類は大きく分けて、器質性便秘と機能性便秘に分類されます。
器質性便秘とは、大腸癌やクローン病などの病気によって大腸が狭窄したり形が変化することが原因で起こります。
一方、機能性便秘は、腸の蠕動(ぜんどう)運動が弱いことや、直腸の知覚と反射が鈍くなり、便意を感じなくなることが原因で起こります。
便秘に良いとされている食べ物には、食物繊維が多く含まれる野菜類や、腸内環境を良くする発酵食品、オリゴ糖を含む果物類があります。
ほうれん草、ケール、レタス、海藻類、バナナ、リンゴ
〇不溶性食物繊維ごぼう、さつまいも、キノコ類、大豆やおからなどの豆類、こんにゃく
納豆、乳製品、キムチ、甘酒など
はちみつ、大豆(きなこ)、たまねぎ、
ごぼう、にんにく、アスパラなど
発酵食品とオリゴ糖は一緒に摂取すると効果が期待されます。
ヨーグルトにはちみつやきなこをかけて食べたり、玉ねぎの味噌汁なども良いですね。
便秘薬に頼らずに日々の食事で便秘を改善するには、継続が必要です。
無理のない範囲で少しづつ食事をバランスのよいものに変えていきましょう。
食事で改善が見られない場合や、高齢になってからの便秘、便に血が混じっている場合は、医療機関を受診しましょう。
これまで、腎臓についていろいろな視点からお伝えしてきましたが、腎臓に優しい食事についての注意点をお知らせします。腎臓シリーズはこれで終了となります。なお、今回のコラムについてより詳しい説明を希望される方は当院に在籍しております管理栄養士にお声掛けいただけたらと思います。
腎機能が低下している方は食事に気をつけなければなりません。
食べる量に気を付ける栄養は、食塩、タンパク質、カリウムです。
塩分の多い食品の一例
梅干しや漬物
干物類
ハムやソーセージ
ねり製品類
初期(G1~G2) | 1日あたりの食塩量は男性7.5g、女性6.5g未満 ※高血圧の方は6g未満です。 |
---|---|
中期~後期(G3a~G5) | 1日当たりの食塩量は3g以上6g未満 |
タンパク質の多い食品の一例(タンパク質含有率も表示)
肉類 鶏ささみ
15~23%
乳製品
5~20%
魚類 まぐろ、かつお
16~22%
初期(G1~G2) | 65歳未満の成人男性で65g、65歳以上は60g、成人女性は50g 尿検査でたんぱく陽性の方は1日に標準体重1キロあたり0.6~0.8g |
---|---|
中期~後期(G3a~G5) | 1日に標準体重1キロ当たり0.6~0.8g 体重60kgだと、36g~48gです。 |
肉や魚全般のタンパク質含有率はおよそ20%です。100gの肉や魚には約20gのタンパク質が含まれています。
乳製品のタンパク質含有量は種類によって違います。ヨーグルト100gあたり3~4g、チーズ20gあたり2~5gです。
カリウムの多い食品の一例
生野菜と果物
いも類
たけのこ
ナッツ類
初期(G1~G2) | 特に気にする必要はありません。 |
---|---|
中期(G3) | 1日 2000mg未満 |
後期(G4、G5) | 1日 1500mg未満 |
生野菜やイモ類に気を付けましょう。素材をよく刻んで水にさらす、もしくは茹でこぼすことでカリウム量を減らすことができます。
タンパク質の摂取量を制限すると、摂取カロリーが少なすぎてしまうことがありますので、カロリー不足にならないように注意しましょう。
カロリー調整しやすい食べ物は、糖分や脂肪分を含む食べ物です。甘いものや、ドレッシングの量を調整するなど、気を付けてみましょう。
自分の適正なカロリー摂取量は、標準体重×25kcal~30kcalです。
標準体重=自分の身長(m)×自分の身長(m)×22
150㎝だと49.5kg、カロリー摂取量は1237~1485kcalです。
160㎝だと56.3kg、カロリー摂取量は1408~1689kcalです。
特定検診で医師の判断によって眼底検査を受けるよう指示がある場合があります。
眼底検査でわかるのは、目の病気だけと思っていませんか?
眼底検査とは、眼底鏡や眼底カメラを用いて眼球の奥にある血管、網膜、視神経などを観察し、眼底の異常の有無を調べる検査です。
失明の可能性がある緑内障や黄斑変性、糖尿病網膜症といった目の病気を早期に発見することができます。
また、眼底に見られる網膜血管は、人間の体のなかで唯一、外から直接血管の状態を観察できる場所です。
高血圧や高脂血症、糖尿病、動脈硬化などの血管の病気の診断にも有効な検査です。
視力検査で問題がなく、見え方にも問題がなければ、眼科を受診しようと思う方は少ないと思いますが、目の病気のなかには、初期~中期まで自覚しにくい病気も多くあります。
40歳を過ぎたタイミングで一度検査を受けてみると良いでしょう。
異常が見られなかった場合も、1年に一度くらいの頻度で定期的に検査を受けましょう。
特定検診を受診後に眼底検査を受ける場合は、1週間以内に眼科を受診するようにしましょう。
緑内障は中途失明の原因第1位です。緑内障に気づかずに放置してしまうと、徐々に視野が狭くなり、失明する危険が高まります。
眼球内は、房水という液体で満たされていますが、緑内障はその房水が何らかの原因で過剰になり、眼圧が高い状態で視神経が圧迫されることが原因です。
また、強度の近視の方や、血縁者に緑内障の方がいる場合も注意が必要です。
目は生活するうえでとても大事な器官です。健康寿命の維持のために、目の健康にも気をつけていきましょう。
特定健診とは、40歳以上の方を対象に、メタボリックシンドロームに着目して行われる検診です。
2008年度から、メタボリックシンドロームに該当する人やその予備軍を減少させるため、特定健康診査(特定健診)がスタートしました。
国民健康保険の方や後期高齢者の方は、市町村の住民健診として特定健診を受診できます。
社会保険の方やその家族は企業健診を受けていただくことになります。
静岡県東部は、生活習慣病の有病率が高く、メタボ該当者や肥満の人が多い状態です。
健康寿命の延伸のために特定健診を受診し、肥満の改善や生活習慣病の予防を心掛けましょう。
基本的な 健診の項目 |
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詳細な 検査の項目 ※一定の基準 |
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第2次沼津市健康増進計画より抜粋
コロナ禍の受診控えで生活習慣が悪化していたり、体重が増加している方が増えています。
体重が5㎏増えると、2型糖尿病や高血圧、心血管疾患、がんなどのリスクが上昇するといわれています。
がん検診とは、がん予防やがんの早期発見のための重要な検診です。現在沼津市では、胃がん(バリウムまたは胃カメラ)、大腸がん、肺がん、肝炎ウイルス、前立腺がん、子宮頸がん、乳がん、の7種類の検査について助成を行っています。
※当院では子宮頸がん検診は行っておりません。
がん細胞が1㎝から2㎝の大きさになる期間は、1~2年と非常に短いことが多く、早期発見には定期的ながん検診が必要です。コロナ禍前と比べてがん検診の受診率は約10%ほど低下しています、進行がんになってしまう前にがん検診を受診しましょう!
※市町村から届く受診券を確認し、対象となる検査を受診しましょう。
新年度を迎え、体に不調を感じている方も多いと思います。
4月・5月は季節の変わり目で寒暖差が大きく、体調を崩しやすくなります。
新生活のストレスによって不眠や片頭痛、胃炎などにもなりやすい時期です。
学生の皆さんは、朝になっても全然起きられないといったことはありませんか?
このような不調の原因は、自律神経の乱れが関係していることがほとんどです。
自律神経を整えて新生活をスタートさせましょう。
朝起きたらカーテンを早めに開けて朝の陽ざしを浴びましょう。新緑の葉を通して浴びる日光は、眩しすぎず、脳の目覚めを促します。ぜひ朝の陽ざしを浴びるよう心がけてください。
また、夜は長風呂や熱いお風呂はやめて、38~40度くらいのお風呂に10~15分程度つかるようにしましょう。お風呂に入ってリラックスしたら夜更かしせず、たっぷりの睡眠を取りましょう。
1.症状が出る数日前より周囲の人達に感染させてしまう
2.高齢者は重症化しやすく、大変残念ですが死亡率が高い
3.インフルエンザの治療薬(タミフルなど)のような特効薬がない
4.ほとんどの日本人が抗体をもっていないのでかかる人が多い
高齢者の新型コロナワクチン接種は発症と重症化を予防する事ができるのです!
新型コロナワクチン接種で、発症リスクが20分の1になることが報告されています。自分のため、そして身近な大切なひとのために新型コロナワクチンを接種しましょう
Q:ワクチンはmRNAを利用すると聞いたのですが、発がん性はないのでしょうか
A:ヒトの細胞の核(遺伝子であるDNAのあるところ)には入り込みません。このワクチンが原因でがんの遺伝子が作られることはありません。
Q:ワクチンの副反応が心配です
A:ワクチンを接種した後に7−8割の頻度で注射した部位が腫れたり痛むことが報告されています。
これは身体の中でウイルス感染症を防御するしくみを作るために起こる症状で通常は数日間程度でおさまります。重い副反応としてまれに接種後数分でアナフィラキシー反応や、注射の痛みや恐怖興奮などさまざまな刺激のために、めまい・嘔気・失神(迷走神経反射)などが起こることがありますので
接種会場では、接種後30分程度安静にすごして経過を観察させていただきます。
医療体制も整えておりますのでご安心ください。
Q:筋肉内注射は痛いと聞きました
A:接種方法にかかわらず、一般的にワクチン接種時に痛みを感じることはありますが数日で消失します。本当は接種部位の痛みや腫れなどの反応は皮下注の方が強いです
Q:少し血圧が高めですし、時々蕁麻疹も出たりします。こんな私がワクチンを接種しても大丈夫でしょうか
A:基本的には接種は可能と思われますが、少しでも不安があれば是非かかりつけにご相談ください。
Q:新型コロナワクチンを接種後は、マスクも3密もいりませんね
A:いいえ違います。接種後も感染対策を継続していただき1日も早く感染が終息するために御協力お願いします。
新型コロナワクチンは世界各国で使用実績があります。新型コロナ感染症をもっと知ってマスク・3密回避だけでなく、ワクチン接種で自分をそして大切な人を守りましょう